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STUDIOFENCE / SELECTED WORKPROJECT 05 — 05

Saint Laurent Hoarding, Paris

パリ、フランス

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01空間について

パリ・シャンゼリゼ通り123番地。Saint Laurentが新たな旗艦店を構えるこの場所には、ブランドの歴史と、ひとつの願いが重なっている。

1983年、創業者Yves Saint Laurentは、シャンゼリゼ通りに自身の名を掲げたいという思いを語った。その願いを実現しようとしたクリエイティブディレクター、Anthony Vaccarello。新店舗の建設期間中、その存在を街に示したのが、巨大な鏡面のファサードだった。

この都市空間演出を手がけたのは、フランスのTerres Rouges。同じPigmentsグループの制作工房Noir Ivoireも関わり、建設中の建物を覆う仮設構造物を、都市の中で強い存在感を放つ視覚表現へと変えている。

ファサードを構成するのは、異なる方向を向いた無数の正方形の鏡面。隣接する歴史的な建築、街路樹、行き交う人々、そして空。それぞれの面が周囲の風景を異なる角度から映し込み、連続した街並みを断片へと分解する。

見る位置や時間によって表情を変えるその造形は、周囲の都市を映しながら、同時にその風景の中で際立つ。単に工事現場を隠すためではなく、新たな旗艦店への期待を生み出す、建設期間中ならではのブランド表現となっていた。

02撮影ディレクション

初めてこのファサードを目にしたとき、強く印象に残ったのは、空の色を映す鏡面が周囲の建築から切り離され、まるで宙に浮いているように見えることだった。現実の風景が画像の画素ごとにずれたかのような錯視。その不思議な存在感を、写真によってさらに際立たせたいと考えた。

撮影では、あえて夕刻から薄暮にかけての時間帯を選んだ。夕日が残す暖かな色彩と、徐々に青みを深める空のグラデーション。それらが異なる方向を向く正方形の鏡面に映り込むことで、一つひとつの面に異なる色と輝きが現れる。

昼間には街並みを断片的に映していた壁面が、夕刻には空そのものを細かく分解するように表情を変えていく。その変化によって、鏡面の立体的な構成と、現実離れした浮遊感が同時に際立つ瞬間を捉えた。

構図では、ファサードだけを独立した造形として切り取るのではなく、隣接する建築や街路樹、シャンゼリゼ通りとの関係を重視した。歴史ある街並みの中に、突如として現れる幾何学的な鏡面。その大きさと異質な存在感が伝わるよう、都市の風景を含めた距離と視点を選んでいる。

一方、壁面に近づいた写真では、正方形の鏡面がそれぞれ異なる方向を向くことで生まれる反射のずれや、光の断片に目を向けた。全体からは巨大なひとつの面として感じられる造形が、近づくほど複雑な表情を見せる。その距離による視覚体験の違いも、写真の連なりに取り入れている。

建設中の仮囲いを、都市の風景を取り込むブランド表現へと変えたファサード。その視覚的な仕組みを読み解き、夕空の色彩と光の変化によって、鏡面の造形が持つ独特の存在感を写真として引き出した。